saitama univ.

20年度報告書 ---具体的内容


 

対象として扱う学問分野

 

主として機械工学(特に,機械加工技術,素形材技術,技術・技能伝承法)について対象とする.本プログラムは,大学の教員と企業の熟練技能者が密接に連携し,ものづくり基盤技術の知識,技術・技能伝承法を身につけたものづくり技術者をバーチャルトレーニングと実習を融合したあらたな教育方法で育成することを特徴とする. インターンシップで企業に派遣される学生には,派遣前に機械加工技術,素形材技術,技術・技能伝承法などに関する専門教育を十分に受けさせ,ものづくり基盤技術産業において熟練技能者から実践的な技術・技能を体得させる.さらに,派遣後は学内において,機械加工技術,素形材技術,技術・技能伝承法をバーチャルトレーニングと実習を繰り返し行うことにより,形式知・暗黙知・身体知を確実に内面化する.これらの知識と技能は,4年次の卒業研究においても,工学的な観点のみならず,企業ニーズも勘案した研究を行ううえでとても有益なものとなる.また,卒業後の進路を決定するうえでも,ものづくり基盤技術や熟練技能伝承の重要性の認識,ものづくりの難しさや楽しさの感受などは,若き技術者に大きな影響を与え,ものづくり技術者の育成に有効なものである.

学生教育の目標や育成する人材像

埼玉大学においては,普遍な知を創造するとともに,時代の要請に応じうる有為な人材を育成することにより,社会に貢献していくことを目指している.工学部では,専門職業人の育成を基本目標とし,専門的能力向上のための教育に力点を置き,これからの産業社会を担う優れた技術者の養成を目指しており,(1)創造力に富む人材を育成すること,(2)課題を探求し,発見する能力を有する人材を育成すること,(3)課題に柔軟に対応し,解決できる能力を有する人材を育成すること,(4)国際的視野を有する人材を育成すること,(5)実践的な企画・立案能力を有する人材を育成することを大学の中期目標・中期計画に設定し,教育を行っている.  本学工学部の学習・教育目標には,技術者に必要な能力を身につけさせるとともに,それの修得の過程において目標を明確に持ち,基礎学力と応用力を高めるための認識を持たせ,自主的な学習を促し,継続的かつ計画的に学習を行うことによって,その能力を修得させることが掲げられている.工学の基礎的知識の修得とそれを応用・総合する能力,課題設定・自己解決能力および独創的な思考力の獲得,広義のコミュニケーション能力の育成,地域社会の重要性を自覚し,地域に根ざしたものづくりや情報技術の発展に寄与できる人材を育成することを目標としている.

 本委託業務は,埼玉大学工学部で開発したVR(バーチャルリアリティ)技術とICT(情報通信技術)を融合したインタラクティブ型技能伝承・訓練システム,および情報メディア基盤センターに設置されている基幹ネットワーク・可視化システムを基盤として,新たに開発するタンジブル型VR環境システムにより,新たなものづくり教育を実践するものである.これにより,従来から行われてきた専門教育と実習によるものづくり教育にタンジブル型VR環境を活用した体験学習を融合することにより,ものづくり知識と技能の獲得を効果的に行うとともに,加工法や成果物のデザインレビューを複数の技術者とともにコミュニケーションをまじえ納得がいくまで繰り返し体験することが可能になる.ものづくり技術の獲得については,VR技術,力覚呈示装置,コンピュータシミュレーションを利用して,実際の現場作業を多角的かつ定量的に行うことができる.本バーチャルトレーニングについては,学会や産業界からも有用性が認められ,日本機械学会教育賞,日本工学教育協会業績賞,日本設計工学会優秀設計賞など一定の評価を得ている.また,本委託業務により教育された学生が社会に出て技術者として従事した際,高付加価値製品を設計・製造できる能力を発揮できるとともに,ものづくりの基盤技術や熟練技能の伝承,人材育成の重要性を認識し,生産活動を遂行することができる,優れた技術者となると考えられる.本学の教育目標は,中期計画を具体的に実現するものであり,本委託業務における学生教育の目標や育成する人材像と一致している.本委託業務は,本学のみならず他大学にとっても,大学における新たなものづくり教育の有効なモデルとなる可能性がある.

 











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