saitama univ.

機械工学セミナー(通年)

(対象:学部3年次)
グループ編成による少人数制で行った.各グループ,3回分を利用して講義と実習を組み合わせた次のような授業を行った.

  「マン・マシンインタラクションに関する講義と演習」

産学連携による実践型人材育成事業における教育プログラムの特徴を解説し,カリキュラム全体の趣旨を周知させた.

現実世界と人間の関わりを再認識させたうえで,立体視ディスプレイの原理を講義した.

また日本の製造現場の問題として団塊世代の大量退職に伴う技能伝承の重要性と課題について説明した.そのうえで,ものづくり技術・技能の伝承にVRを活用する事例を取り上げ,OJT(On-the-Job Training:現場訓練)と連携することにより,効率的に技能を獲得できることを示した.

実習ではVR環境を記述するためのVRMLについて学び,実際に単純なモデル作成を行った.

さらにそのモデルをヘッドトラッキング機能付き3次元立体視装置(VRシステムと呼ぶ)で表示することによって,どのように観察できるのかを体感させた.

立体視の基本原理を理解し,自ら3次元モデルを作成することによって単にトレーニングを受けるという姿勢ではなく,より自発的に実習へ参加できるようになり,学生の講義に対する意欲を高めることができた.

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図1 VRMLによる球体

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図2 VR実験システム

 「鋳造技能の講演と,バーチャルトレーニング」

熟練した技能が要求される鋳造を取り上げ,鋳造業に従事している技術者・技能者を外部講師として招き,「鋳造技能」に関する講義をして頂いた.作業現場を見ることは安全性や機密保持の観点から容易ではないため,非常に貴重な機会となった.

  • 鋳造の基礎知識として,鋳物の利点・欠点,造形・溶解・不具合に関する用語(符丁)の解説
  • 設備,材料,副資材について解説して頂いた.さらに現場の写真等を用いて実際の鋳造工程を解説

また,産業界からみた今後の「ものづくり」の方向性について御意見を頂き,就職活動を控えた学生にとっては有益な情報になった.これらは産学連携特有の成果といえる.

実習では鋳造工程の一つである「型合わせ」と呼ばれる作業のバーチャルトレーニングを行った(図4).講義で得た知識を体験することによって理解を深められた.

最後に,バーチャルトレーニングの有効性について評価アンケートを実施した.

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図3 鋳造講義

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図4 バーチャルトレーニング

  「コンピュータを利用した機械設計」

3次元形状データを利用した現代のものづくりについて講義した.

3次元モデルの表現方法とCGによる表示方法の基礎知識から3次元CADを利用した設計について解説した.またCAE,CAMを活用した新しい開発・製造過程についても示した.そのうえで,産業を支える技能の伝承に立ち返ることで熟練技能の重要性について述べた.

実習ではVRシステムを用いた汎用旋盤による切削加工トレーニングを行った.このシステムでは外形加工における切り込みと送り操作を行うことができ,切削状況を視覚,力覚および聴覚の情報として得ることができる.機械工作実習における実際の旋盤を利用するための練習として,加工手順などを身につけることを狙いとした.

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図5 VRシステムによる旋盤実習

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図6 実機での旋盤実習

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